これを読めばすべてわかる プロトタイプテスト 【徹底ガイド】

The Ultimate Guide to Prototype Testing

この記事は、UXTweak のコンテンツデザイナー責任者であるDaria Krasovskaya様によるゲスト投稿です。ぜひ最後までお楽しみください!

プロトタイプが完成し、デザインを検証する方法をお探しですか?この記事では、プロトタイプテストを実施する際のベストプラクティスと知っておくべき情報をまとめました。

プロトタイプテストは、デザインを検証し、ビジネスの目標を達成しながらユーザーのニーズを満たすことを確認するための優れた方法です。UXチームがデータに基づいた意思決定を行い、ユーザー中心の製品を作成する上で大いに役立つ、極意とも言えるユーザーリサーチ手法です。

プロトタイプとは

responsive screens prototyping

プロトタイプは、デザインコンセプトとプロセス検証のために構築される製品を具体的に表すものであり、製品が本格的な生産に入る前に改良を加えることができます。

そして、製品固有のニーズと製品ライフサイクルの段階に基づいて、以下のようにさまざまなタイプのプロトタイプを開発することができます:

  • 高忠実度プロトタイプ: 最終製品を模した詳細なモデル。製品の使いやすさを改良するために製品開発プロセス後半で使用される。
  • 低忠実度プロトタイプ: 製品ライフサイクルの初期段階で、製品を構築するデザインコンセプトのテストや検証に使用するシンプルなモデル。
  • ワイヤーフレームまたはペーパープロトタイプ: 製品の構造とレイアウトの概要を示す非常に基本的な表現方法。ワイヤーフレームまたは手描きのペーパープロトタイプのいずれかの形式を取ることができる。

プロトタイプテストとは

プロトタイプテストは、UXの手法の1つで、製品が本格的な生産に移る前に、プロトタイプを評価してデザインを検証したり、改善点を特定したりするものです。

プロトタイプテストは重要なフェーズで行われ、UX専門家は、製品がユーザーのニーズや期待に合致していることを確認することができます。

また、プロトタイプの種類によって、テストは一般的なUX(ユーザーエクスペリエンス)、機能性、ユーザビリティだけでなく、問題の製品の全体的な美しさを評価することができます。

製品のプロトタイプテストが重要な理由

プロトタイプテストは、対象ユーザーの視点で製品を見ることができる見逃せない機会であり、製品開発にとって多くの利点があります。これによって、デザインプロセス全体と最終製品の開発に付加価値を与えます

以下で、プロトタイプテストを実施する主なメリットを見てみましょう:

反復的な改善

プロトタイプテストは、UXデザインにおける継続的改善の思考の典型です。UX専門家はプロトタイプテストで製品の使いやすさ、機能性、美しさに関して、潜在的な改善点を特定することができることにより、製品の改善をサポートします。 UXは反復的なプロセスですが、プロトタイプテストも同様なのです。

時間とコストの節約

プロトタイプを作成し、UXプロセスの早い段階でテストするのは、費用、時間、リソースの節約になる優れた方法です。

プロトタイプのテストにより、製品が生産に入る前にコストおよび時間を効率化し、専門家によるコストのかかる再デザインや手直しを回避することができます

ステークホルダーとのやりとり

先述したように、プロトタイプは製品の具体的な表現なので、チームが同じ認識かを確認するための優れたツールとして機能します。

さらに、プロトタイプテストは、社内のステークホルダーからのフィードバックを集めるだけでなく、製品がユーザーのニーズを満たしながら、ビジネスの戦略的目標に貢献していることを確認する見逃せない機会でもあります。

リスク軽減

プロトタイプテストのもう 1 つの重要な利点として、リスク軽減のメカニズムとして機能する点があります。 プロトタイプテストにより、UX専門家は開発プロセスの早期段階でリスクと課題の特定して対処できるため、対象ユーザーに製品が採用される可能性が高まります。

そしてプロトタイプテストといえば、モバイル用のテストも忘れずに。Unswitchの2023年の調査によると、世界の携帯電話市場の統計において世界のスマートフォンユーザーは46億人いるとのこと。

プロトタイプテストを行うタイミング

プロトタイプテストは、反復的で動的なプロセスであることから一過性のタスクとして行わないようにしましょう。プロトタイプのテストは製品開発を通じて行っていきましょう。プロトタイプテストは、初期段階の場合特に、コンセプトを検証するための素晴らしい方法となります。

アイデアの検証後はプロトタイプテストで基本的な機能性を確認し、製品が対象ユーザーのメンタルモデルに反していないことを確認することができます。

発売直前や発売後といった後期段階では、プロトタイプのテストを行うことで、全体的なユーザーエクスペリエンスを検証し、変化するユーザーニーズに対応するための改善点を的確に特定できます。

プロトタイプテスト用製品の種類

プロトタイプテストは汎用性の高いツールであるため、ソフトウェアアプリケーションやプラットフォームなど、多くの製品に適用することができます。ある種の UI を伴うデジタル製品であれば、プロトタイプを使ってテストすることができますが、家電製品や医療機器などの物理的な製品も、プロトタイプのユーザーテストから恩恵を受けることができるというのは注目に値します。

プロトタイプの種類

プロトタイプテストにはさまざまな種類があり、それぞれ「製品の評価」という点で異なる目的があります。最もよく知られているカテゴリーで「量的テスト」「質的テスト」があります。さらに、ファシリテーターの有無によって、「モデレート型」と「非モデレート型」に分類できます。

このようなカテゴリが持つ独自の性質をより理解できるように、それぞれの主な特徴と違いを概説した表を以下のように作成しました:

 

「量的テスト」と「質的テスト」

種類

量的テスト

質的テスト

定義

メトリクスや KPI(主要業績評価指標)にアクセスする量的データの収集および分析。

ユーザーの行動をより良く理解するためのユーザーインサイトの収集および分析。

方法

分析ツールを使って、プロトタイプ内でのユーザーのインタラクションを追跡する。

ユーザビリティテストを実施し、問題の特定に関して観察し、共通のテーマを見つける。

利点

統計的な精度を得られ、客観的な指標が提供されることで UXを定量化できる。

ユーザーの行動を強調する問題点と動機についての深い理解が得られる。

 

「モデレート型テスト」と「非モデレート型テスト」

種類

モデレート型テスト

非モデレート型テスト

定義

テストプロセスを通じてユーザーをガイドするファシリテーターが関与する。

ファシリテーターは関与せず、ユーザーは独立してプロトタイプと対話する。

方法

ユーザーが自分の考えやファシリテーターからの質問を言語化するよう促すシンクアラウド・プロトコルが主な手法である。

遠隔操作によるユーザビリティテストと自動分析が、非モデレート環境でデータを収集する主な方法である。

利点

回答を明確にしたり、深く掘り下げたりする機会を得られる。

プロトタイプテストにコストと時間効率の高いアプローチが得られる。

プロトタイプテストの実施方法

プロトタイプテストの初心者であれば、このガイドで、効果的なソフトウェアプロトタイプテストの実施、さらに、よりユーザー中心の製品向けのデータに基づいた意思決定を行うことができるようになります。

1.プロトタイプテストを計画する

まずは、テストの目的を明確に設定することから始めましょう。たとえば、「使いやすさ」や「ユーザー満足度」に焦点を当てたいと思うかもしれません。目標がすべて決まれば、プロジェクトのニーズに最も適したプロトタイプテストのタイプを選択します。そしてリサーチの目標に沿ったテストのシナリオを作ることから始めましょう。ユーザーペルソナを使って対象者を確定し、ユーザビリティテスト参加者を募集しましょう。

2.プロトタイプテストのツールを選択する

適切なプロトタイプテストツールの選択は、プロトタイプテストの取り組みを左右します。プロトタイピングツールとの統合のしやすさだけでなく、テスト固有の要件に基づいて適切なツールを選択しましょう。

3.テストを実行する

プロトタイプのセッションを実施し、質的データと量的データの両方を取るようにしましょう。一挙手一投足まで見逃さないよう、メモを徹底的に取ってレポートを作成することも忘れずに!

4.結果を分析する

次は結果の分析です。パターンを特定し、質的データと量的データの両方を考慮した上で、結論を導き出しましょう。そして特定した問題の重大性や影響度に基づいて優先順位をつけます。

5.反復と繰り返し

今度は、調査結果をデザインチームへの実行可能な提案に変換します。 プロトタイプに変更を実装し、行われた改善のプラスの効果を検証するために追加のテストを必ず加えてください。そしてその最終製品に満足するまで、改良とテストを行い続けましょう。

おすすめプロトタイプテストツール

現在市場に出回っているプロトタイプテストツールの中から、おすすめを以下に挙げましょう:

1.UXtweak

UXtweakのような主要なプロトタイピングツールとのシームレスな統合によって、プロトタイプのテストがしやすくなります。また、使いやすいインターフェースによって、あらゆるレベルの人にとって利用しやすく、専任のサポートチームによる専門的なガイダンスを受けることもできます。UXtweakのプラットフォームは、プロトタイプテストのリサーチが大幅に効率化されるリクルート用のユーザーパネルを備えている点も魅力です。

2.Lookback

Lookback もまた、プロトタイプテストを実現する強固なツールです。UXリサーチャーやデザイナーがリアルタイムでテスト参加者と対話できるライブリモートテストツールを提供します。このコラボレーション機能によりチームメンバー間の連携を促進します。

3.Userlytics

Userlyticsは、リモートプロトタイプテストツールを特徴とする包括的なUX分析ツールです。また、プロトタイプテストの参加者が、メモや音声、ビデオなど様々な形でフィードバックを収集できる、きれいに作られたマルチメディアフィードバックツールも魅力です。

4.Optimizely

Optimizely もまた、プロトタイプテストを実現する優れた実験プラットフォームです。このプラットフォームは A/B テストやリモートセッション録画のようなツールが提供され、プロトタイプのテスト作業を強化できるデータ駆動型のインサイトとパーソナライズ機能があります。

ヒントFullStory統合を使って、UXPinのプロトタイプをテストすることもできます。 

プロトタイプテストの募集方法

プロトタイプテストの参加者を募集するのは、すべてのプロトタイプテスト調査において不可欠なステップです。インサイトの妥当性は、募集採用の質やターゲットを代表とする多くの参加者に影響を与えますからね。テストを達成するには、参加者の募集を行う前に、ターゲットの具体的な特徴を定義し、ユーザーペルソナを参照するようにしましょう。

もう1つの大きなヒントは、特定のスクリーニングクエスチョンを使って、ターゲットとしている層をその参加者が代表していることを確認することです。これが完了したら、参加者を1つのチャネルからのみ集めようとしないでください。

その代わりに、SNS や関連するオンラインコミュニティなど、いくつかのリクルートチャネルを利用して、リサーチに豊かなインサイトがもたらされるような多様な参加者を集めましょう。

参加者の募集を慎重に行うことで、よりユーザー中心の製品に貢献する質の高い、実用的な結果がもたらされることをお忘れなく。

プロトタイプテストのベストプラクティス

もしプロトタイプテストに足を踏み入れようとしているなら、以下のルールを覚えておきましょう。

量的データと質的データを組み合わせる

質的方法論と量的方法論の両方をプロトタイプテストのリサーチに統合すると、大きな効果が得られます。 数値統計でユーザーの行動を定量化することができ、質的なインサイトはユーザーの行動の背後にある「理由」を明らかにすることができます。

それによって、ユーザーの内発的動機とニーズをより包括的に理解できるようになり、よりユーザー中心のデザインプロセスが実現します。

現実的なシナリオを含める

プロトタイプテストを実施するとき、複数のシナリオとエッジケースを含むなどのセッションを一気に詰め込んでしまいがちです。 テスト参加者向けに現実的なタスクを作成して、順調に進めていきましょう。 実際のタスクを使うことで、参加者がリアルにプロトタイプに取り組むことができ、インサイトがより実用的なものになります。

テスト参加者の多様化

これは本当に大事です! 前述したように、参加者の募集はあらゆるプロトタイプテスト調査のすべてと言えるでしょう。 テスト参加者の多様性を常に目指すことで、ニーズや期待についてより幅広いインサイトが得られ、対象とするユーザーについてより包括的な理解につながります。

テスト全体で一貫性を確保する

最後に重要なことですが、さまざまなプロトタイプのテスト セッション間で常に一貫性を確保してください。

一貫性により、プロトタイプテストのセッションから得られるインサイトが信頼できるものであり、一番重要なこととして、比較可能であることが保証されます。

プロトタイプテストをするときに避けるべきよくある間違い

プロトタイプテストをするときに避けるべきよくある落とし穴を以下で見てみましょう:

アクセシビリティに関する考慮事項を無視する

誘惑に駆られるかもしれませんが、プロトタイプテストのセッションではアクセシビリティを必ず考慮してください。 そうしなければ、基本的なユーザーのニーズが無視されたデザインになる可能性があります。

モバイルテストをしない

モバイル ユーザーは増加しているため、モバイルのプロトタイプテストもお忘れなく。常にモバイルエクスペリエンスをテストし、デスクトップのパフォーマンスがモバイルデバイスでの最適なUXメトリクスになるとは決して考えないでください。

インサイトの文書化でしくじる

インサイトの文書化でしくじるのは、プロトタイプテストにおける大きな落とし穴の 1 つです。 貴重なインサイトを失くしたり、結論を急ぐことを避けるために、各プロトタイプテストのセッションを徹底的に文書化し、質の高いメモをとることを怠らないようにしましょう。

まとめ

プロトタイプテストは、ユーザーとビジネスの両方のニーズに合わせてデザインを調整する上で、非常に重要な役割を果たします。 このテストによってUXチームはよりユーザー中心の製品を大いに構築できるようになるため、UXデザインプロセスに統合する価値のあるユーザーリサーチの手法の頂点の 1 つに挙げられます。

プロトタイプテストを最大限に活用するには、プロトタイプテストに対して反復的なアプローチを採用し、決して一過性のタスクとして扱わないようにしましょう。

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