デザイン計画入門 :ステップバイステップガイド

デザイン計画 で、デザインプロセス全体の一貫性、拡張性、効率性が促進され、より質の高い最終製品と満足度の高いUX(ユーザーエクスペリエンス)につながります。
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デザイン計画 とは
デザイン計画は、デジタル製品のデザインアプローチを概説して整理する、戦略的なプロジェクト計画のプロセスであり、効果的な連携や効率的な実行、そして製品開発のジャーニーにおける成功のための基盤を構築します。
デザイン計画には、以下のようなものがあります:
- 明確な目標の設定
- デザイン原則とガイドラインの確定
- 情報アーキテクチャの確立
- 全体的なビジュアルとインタラクションデザインの方向性の決定
デザイン計画が重要な理由
デザイン計画は、デザインチームにロードマップを提供するため、デジタル製品開発において非常に重要です。デザイン計画によって、デザイン上の決定がユーザーのニーズやビジネス目標、ブランド アイデンティティと確実に一致するようになります。
効果的なデザイン計画は、徹底的なリサーチの実施や明確な目標の確定、ガイドラインの確立によって曖昧さを減らしたり手戻りを最小限に抑えることで、製品のデザインプロセスを効率化します。
また、チームメンバー間で効果的なコミュニケーションができるようになり、ステークホルダーの連携は促進され、ユーザー中心で視覚的に魅力的かつ機能的なデジタル製品を生み出す可能性が上がります。
デザイン計画の責任者
通常はデザインチームにデザイン計画の作成を担当する人がいますが、組織や組織構造によって異なります。
よくある例としては、以下が挙げられます:
デザインチームはデザイン計画の作成と実行において責任を担いますが、ユーザーニーズとビジネス目標や目的を一致させるためには、複数のチームやステークホルダーとの連携が必要です。
ビジネスで成功するためのデザインの取り組みを調整する

UXPin が以前主催したウェビナー「Strategies for Building a Resilient DesignOps Practice(レジリエントな DesignOpsのプラクティスを構築するための戦略)」では、専門家のSalomé Mortazavi氏、Meredith Black氏、Adam Fry-Pierce氏が、デザインの取り組みをビジネス戦略と整合させることの重要性について議論しました。
パネリスト達は、デザインチームが直面する課題と、DesignOps がその課題にどのように対処できるかについて以下の見解を述べました。
デザインの取り組みの調整における主な課題
SiriusXMのDesignOps およびデザインシステム担当のシニアディレクターであるSalomé氏は、デザインチームが直面する課題でよくある根本原因は、全体的なビジネス戦略におけるデザインの役割の調整と理解の欠如であると強調しました。
そこで彼女は、共有ビジョンを作成し、デザインとビジネス憲章を一致させることの重要性を述べています。
ボトルネックと非効率への対応
そしてDesignOpsコンサルタントのMeredith氏は、デザインチームは、断片化されたプロセス、コミュニケーションのギャップやリソース制約によるボトルネックや非効率性に直面することがよくあると付け加えました。
さらにMeredith氏は、DesignOpsでワークフローの効率化、デザインシステムの構築、チームの連携の促進、成果物の前進が実現すると述べます。
計画およびビジョン設定
また、パネリストたちは、デザインの取り組みを調整する上での「計画」と「ビジョン設定」の重要性についても議論し、Saloméは、自身の計画立案のためのツールとして、「デザイン成熟度指数」と呼ぶ成熟度モデルを中心にロードマップを調整することを挙げました。
この戦略は、デザインの取り組みがビジネス目標に合致していることを保証すべく、年間を通じて継続的な計画を立てるものです。
以下のハイレベルなデザイン計画のフレームワークで、デジタル製品開発の包括的な計画を作成するためのステップバイステップのプロセスを習得しましょう。
ステップ1:問題を理解する

最初のステップは、「問題」と「ターゲットオーディエンス(対象者)」の理解です。デザイナーは、デザイン思考、ダブルダイヤモンド、アジャイルUX などのデザインフレームワークによって、ユーザー中心の考え方でプロジェクトのリサーチや計画をでき、デザインチームは問題を理解するために、次のことを行います:
- ユーザーリサーチの実施:インタビュー、リサーチ、ユーザビリティテストを通じて、ターゲットユーザーに関するインサイトを集め、彼らの行動、嗜好、ペインポイントを理解する。
- プロジェクトの目標と目的の確定:最終的な製品が何を目指し、どのような問題を解決しようとしているのかをざっとまとめることで、デザイン計画プロセスの方向性が示される。
- ユーザーニーズとペインポイントの分析:調査結果を分析してパターン、トレンド、ユーザー要件を特定することで、彼らの問題に効果的に対処する製品をデザインする際に非常に重要。
- ビジネス要件と制約の特定:組織の予算制限、技術的な実現可能性、時間的な制約を考慮しながら計画を調整することで、実行可能かつうまくいく製品成果が保証される。
ステップ2:デザイン原則とガイドラインを確立する

デザインシステムは、デザインの原則とガイドラインを確立するための包括的なフレームワークが得られるため、デザイン計画において重要です。また、デザインシステムで、プロジェクトごとの原則やガイドラインの設定がシンプルになったり軽減されたりします。
デザイン原則の確定
デザイン原則は、デザインへの全体的なアプローチを示す指針となるものであり、チームが製品のデザインに含めないといけない基本的な価値や目標の概要を示すものです。デザイン原則を確定することで、デザインプロセス全体を通して一貫性、整合性、ユーザー中心主義が維持されるのです。
ユーザビリティ・ガイドラインの設定
ユーザビリティ・ガイドラインは、製品が使いやすくて良好な UX を提供するための基準とベストプラクティスを確立します。このようなガイドラインは、ナビゲーション、レイアウト、コンテンツ構成、およびインタラクションデザインを対象としており、ユーザビリティ・ガイドラインを設定することで、ユーザーの期待とニーズを満たす一貫性のある直感的な UI(ユーザーインターフェース) ができあがります。
ブランドガイドライン と ビジュアルアイデンティティ の導入
ブランドガイドラインとビジュアルアイデンティティの要素は、製品の視覚的表現を確定し、タイポグラフィ、カラーパレット、ロゴの使用、イメージスタイルなど、組織のブランドとの一貫性を保証します。ブランドガイドライン と ビジュアルアイデンティティ の要素をデザイン計画のプロセスに取り入れることで、製品全体に一貫性と認知度の高いブランドの存在感が維持されます。
ステップ3:情報アーキテクチャを作成する

デザイナーは、論理的で直感的な UX を保証する強固な情報アーキテクチャを確立し、それによってユーザーはデジタル製品のコンテンツや機能を見つけたり、ナビゲートしやすくなります。
コンテンツ監査とインベントリーの実施
まずは、関連する情報をすべて特定し、その関連性と質を評価して、残すべきもの、修正すべきもの、削除すべきものを決定することによって、アプリや Web サイト内の既存のコンテンツを見直しおよび分析することから始めましょう。
情報整理とコンテンツ構成
関連するコンテンツをグループ化することによって、情報を明確で論理的な構造に整理します。それによってカテゴリーと階層ができ、ユーザーがナビゲートできるように情報の一貫した流れが確立します。
ユーザーフローとナビゲーションマップの作成
ユーザーフローをマッピングすることで、ユーザーが目標を達成するための最も直感的で効率的な方法を特定することができます。一方、ナビゲーションマップは、Web サイトやアプリケーションの構造を視覚的に表現し、さまざまなページやセクションがどのように接続されているかを示します。
ワイヤーフレームと低忠実度プロトタイプのデザイン
ワイヤーフレームは最終的なデザインの青写真として機能し、コンテンツの配置、機能性、ユーザーインタラクションに焦点を当てます。忠実度の高い(Hi-Fi)プロトタイプに多大なリソースを投資する前に、忠実度の低い(Lo-Fi)プロトタイプで ユーザーテストとフィードバックができるようになります。
ステップ4:インタラクションデザインを確定する

製品のインタラクションデザインは、スムーズで魅力的な UX を促進する必要があり、それによってユーザーは、デジタル製品をシームレスにナビゲートし、操作できるようになります。
ユーザーのインタラクションとアクションのマッピング
ユーザーゴールの理解やユーザー・ジャーニーの確定、ユーザーがインターフェースに関与するタッチポイントの特定のために、製品のインタラクションとアクションをマッピングします。
直感的でユーザーに優しいインターフェースのデザイン
明確なナビゲーションをデザインしてコンテンツを論理的に整理し、UI要素の一貫性と視覚的な魅力を確保することで、直感的でユーザーに優しいインターフェースを作成できます。
インタラクティブ要素とマイクロインタラクションの導入
インタラクションデザインには、ボタンやメニュー、フォームなど、ユーザーの入力に反応するインタラクティブなコンポーネントのデザインが含まれます。また、ホバー効果やアニメーションによるトランジションなどのマイクロインタラクションで、ユーザーのアクションに微妙ながらも有意義なフィードバックが加わります。
ステップ5:ビジュアルデザインとブランディング
デザイン計画は、製品のブランドと調和してその目的とメッセージを効果的にユーザーに伝える、視覚的に魅力的でまとまりのあるデザインを作成する際のデザイナーの指針となるものでないといけません。
- 商品の目的やターゲット層に沿った適切なビジュアル・スタイルを選ぶ。
- カラーパレットとタイポグラフィーを確定し、望ましい感情を呼び起こす色や、ブランドの個性を反映した読みやすいフォントを選ぶなど、視覚的に心地よく一貫性のあるデザインに仕上げる。
- ボタン、カード、アイコンなどの視覚的に魅力的なレイアウトやコンポーネントを作成し、間隔、階層、バランスに注意しながら、調和のとれた魅力的なデザインを実現する。
- ビジュアルデザインの一貫性と整合性の確保には、すべてのデザイン要素や画面の一貫性を維持するためのフレームワークを提供するデザインパターン、ガイドライン、スタイルガイドの確定が含まれる。
ステップ6:連携と連絡

上記の DesignOps のエキスパートから分かったように、連携とステークホルダーのフィードバックを取り入れることは、デザイン計画にとって非常に重要です。効果的なコミュニケーション・チャネルを確立し、ステークホルダーや部門の垣根を超えたチームと協力し、デザインレビューやフィードバックセッションを実施することで、知識共有が促進され、デザイン計画がビジネス目標と一致します。
デザイン計画における連携と連絡の考慮事項には、以下のようなものがあります:
- チームメンバー間の円滑でタイムリーなコミュニケーションを確保すべく、プロジェクト管理ツール、メール、インスタントメッセージのプラットフォーム、バーチャルでの連携スペースなどの効果的なコミュニケーションチャネルを確立する。
- ステークホルダーや部門を横断してのチームとの連携には、プロダクトマネージャー、デベロッパー、マーケティング担当者などの主要なステークホルダーがデザインプロセス全体を通じて参加し、彼らのインサイトを集めてデザイン上の決定を製品戦略全体に一致させる。
- デザインレビューやフィードバックセッションを実施することで、デザインコンセプトやプロトタイプ、ワイヤーフレームを関連チームに提示し、建設的なフィードバックを集めてデザインを反復・改善する機会を提供する。
ステップ7:プロジェクト管理とタイムライン

効果的なプロジェクト管理とタイムライン管理は、デザインイニシアチブを軌道に乗せ、リソースの活用を最適化し、デザインアウトプットをタイムリーに提供するのに非常に重要です。
- プロジェクトのスケジュールとマイルストーンを作成することで、デザイン計画と実行を確実に構造的かつ組織的に行える。
- デザインのリソースとスケジュールを管理することで、プロジェクト全体のスケジュールの中でデザインタスクが適切にスケジュールされ、調整されるようになる。
- プロジェクトの目標を達成し、予期せぬ課題や変更に対処するために、進捗状況を追跡して変更に対応することで、ステークホルダーとのオープンなコミュニケーションの維持や整合性の確保、十分な情報に基づいた意思決定が実現する。
UXPin Mergeでより良い製品成果を生み出す
UXPin Merge はデザインと開発のギャップを埋め、デザイン計画と製品開発をシンプルにします。デザインチームとエンジニアリングチームが同期することで、DesignOps は、複数のデザインライブラリやドキュメントの更新のような冗長なプロセスにリソースを浪費することなく、戦略的イニシアチブにより多くの時間を費やすことができます。
また、「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」により、デザインシステムチームはリリース1つですべてのチームにアップデートが同期されます。
各チームは、単一の集中レポジトリからコンポーネントやドキュメントにアクセスできることによって絶対的な一貫性、デザインドリフトがゼロ、最小限の技術的負債がもたらされます。
Mergeの「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」でデザインプロセスを効率化しませんか。詳細およびアクセスリクエスト方法については、Mergeのページをぜひご覧ください。